住宅を買う時に気にして欲しい【耐震性】について

 

令和6年能登半島地震が発生した際に、被災地の現場では多くの住宅が倒壊・損壊いたしました。
特に倒壊した家屋の特長は、阪神淡路大震災後の2000年に制定された現行耐震基準(2000年基準)以前に建てられた、築年数が古く比較的耐震性の低い住宅が多かったということです。
倒壊した住宅の隣に、現行耐震基準に準じているであろう築浅の住宅が、外観的にはほとんど損傷を受けていない様子で建っていたのも印象的でした。

これから住宅を買ったり借りたりする場合は、現行耐震基準である2000年基準をクリアしている住宅なのかを確認する必要があることが分かったかと思います。
クリアしていれば居住している方の命を守ることが出来る耐震等級1またはそれ以上の耐震性能を持っている住宅と言えます。

ちなみに、耐震等級は1から3等級まであり、消防署・警察などの防災拠点になる建物の基準が最高等級の耐震等級3となります。

※耐震性についてはこちら

◆中古(既存)住宅の耐震性の見極め方

では、中古市場にある中古(既存)住宅を買おうとした場合に耐震性について知っていて欲しいことをいくつか紹介します。

住宅の築年数を確認する

住宅の耐震基準はこれまでも何回か改正されました。改正されるごとに耐震基準も厳しくなっているので、建築年数で住宅のある程度の耐震基準が判断できます。大きく分けると以下のようになります。

・1981年以前【旧耐震基準】

1950年に全国全ての建物に耐震設計が初めて義務付けられた建築基準法が制定されました。その後何度かの改正があり1978年の宮城県沖地震を経て1981年6月に大きな改正がありました。

・1981年以降【新耐震基準】:耐力壁の設置が義務付けされた

1981年6月の改正では新耐震基準が施行され、木造住宅においては耐力壁の量、耐力壁の倍率などが見直され、耐震性が大きく向上しました。1981年6月以降に確認申請を取得した新耐震基準の住宅なら、大地震発生時でも家の倒壊・崩壊は免れ、家の中にいる人の命は守られる程度の耐震性を備えていることになります。

・2000年【現行2000年基準】

1995年の阪神淡路大震災を受けて2000年には木造住宅において耐震性に大きく影響を与える以下のような改正がされました。

【基礎形状】:

地耐力に合わせた基礎の仕様が明記され、事前の地盤調査が事実上必須となりました。

【柱頭、柱脚、筋交いの接合部の接合方法】:

地震時に家が崩壊する原因として柱の足元や頭部分が基礎や梁から引き抜かれてしまうという現象がありますが、引き抜き防止のために使用する止め金物(ホールダウン金物)の種類などが具体的に明記されました。

【耐力壁のバランス配置】:

建物の耐震性を確保するためには、耐力壁の量の確保とともに壁をバランスよく配置することが大切で、この改正後は壁配置のバランス計算が必要となりました。

以上のように住宅の築年数を知ることで、どの耐震基準で建てられた建物であるかを知ることができます。
必ず住宅の確認申請や建築図面などの書類から築年数を確認しましょう。

平面図で間取りを確認する

平面図や実際の現地で確認する際には、住宅の片面が解放されている建物は要注意です。
片側に縁側や廊下があり、窓や戸を開放できるように設計されている住宅は、地震の際にはねじれを起こして倒壊する危険性が高いです。

デザイン住宅は耐震性に注意が必要-–構造を無視する傾向がある(構造が不備)

建築士にはデザイン性を重視して設計することが得意な方がおられます。
その際にどうしても耐震性などをおろそかにすることがあります。
デザインにこだわった住宅を検討される際には「構造計算書」などが用意されているかも確認しましょう。

◆倒れにくい建物かどうかの見極め方

壁の量を見る

住宅全体の壁の量を確認します。外壁側ではなく家の内側に壁量が確保されていればそれでもOKです。

2階と1階の直下率を確認:

上下階の壁の位置が揃っていると直下率が高く、地震の際にもねじれによる倒壊がしにくい構造と言えます。

建物の重さの確認:

築年数の古い住宅で屋根が瓦葺きであるとか、2階を物置のようにして積載物が多い場合は、地震の際の横揺れなどにより倒壊するリスクが高くなります。
ただし最近の屋根瓦は軽量瓦となっているので特に問題はないと考えられます。

1階2階に大きな部屋のある家:

大きな面積の部屋は、それだけ耐震性が低い状態であると言えます。2階との柱が繋がっていない場合には、2階が真下に落下する倒壊を起こす危険性があります。

1階に車庫(ピロティ)がある家:

1階部分に車庫を設けている住宅の場合は、開口部分が広く取られているので耐震性が低い場合があります。構造計算書などで耐震性を確認する必要があります。

ただ、オスカーホームのインナーガレージ住宅の場合は耐震補強のための【門型フレーム】を採用しているので耐震性には全く問題がありません。

3つの基本:

耐力壁があるか。耐力壁がバランス良く配置されているか。柱の直下率(柱と梁が揃っている)は適正かなどを確認しましょう。1階に壁が沢山ある住宅は安全性が高いと言えます。

外観からの見分け方としては、窓が上下揃っている場合直下率がいいと言えます。(窓がずれている場合は要注意)

平面図が凸凹していないこと:

平面図をみて凸凹している住宅は、地震の際の横揺れに弱く倒壊する場合があります。L字型の住宅などでも接合部分で亀裂が入ることが考えられます。

◆耐震補強されているかを確認

1981年6月以降、2000年までに着工した木造戸建て住宅は、2000年以降に着工した住宅に比べ、耐力壁の配置、柱や筋交いの接合部、基礎などに弱点がある可能性があります。

新耐震基準で建てたから大丈夫とやみくもに安心してしまうのではなく、また既に耐震補強がされている場合もあるので、専門家による【耐震診断】を受けて住宅の耐震強度を確認するようにしましょう。

※耐震診断についてはこちら

◆まとめ

いかがでしたか、中古(既存)住宅を買おうとする際には、立地・間取り・設備などの良し悪しだけでなく、安心安全に暮らし続けるためにも、住宅の耐震性についても十分な確認をしていただくようお勧めします。

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