知っておきたい-「分譲地」について

「住宅を建てよう・買おう」と思い立った方は、まずSUUMOやathomeなどの大手の住宅ポータルサイトや、不動産会社・住宅会社のホームページの物件情報などを検索することから始める方が多いのではないでしょうか?

そこで初めて、不動産・住宅用語などの業界用語に触れることになります。
今回は、不動産・住宅用語のいくつかを簡単に説明し、その後に初めて土地探しを始める方に向けていわゆる【分譲地】について紹介いたします。

◆まずは、不動産・住宅用語を知ろう

「分譲地と宅地ってどう違うの?」「分譲住宅と建売住宅って同じじゃないの?」など、意味を知らないと混乱するので、簡単な不動産・住宅用語を説明します。

宅地:

土地は用途により登記記録に記載される地目の種類が異なります。宅地とは、地目の一種で「建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地」として定義されている土地です。不動産登記の際に「宅地」「田」「山林」などと分けて記載されています。

分譲地:

不動産会社や住宅会社などが面積の大きな土地を取得し区画整理して、宅地として小分けに販売する土地のことを言います。一定の面積を確保するために、従来は住宅用地ではなかった田畑や山林などの土地を買い取るケースが多くあります。
分譲地は、販売用に区画整理を行うため、既に電気・水道・ガスといった生活インフラが整っており、土地としての質が高いことが特徴です。なお、既に区画整理された土地から選ぶという制限があります。

建築条件付き宅地

分譲区画を販売している会社が、家を建てる際の建築会社を指定している宅地のことです。この場合は、区画=住宅会社となるので、建てる住宅も決まってしまいます。ホームページなどにも明記されているので確認が必要です。

建築条件なし宅地

販売されている土地に建てる、建築会社を自由に選べる宅地をいいます。区画数の多い分譲地を開発した不動産会社が主体として販売する際や個別宅地には、「建築条件なし」と明記されている場合が多いです。

分譲住宅(不動産住宅):

分譲地に建てられた住宅のことです。間取りやデザインがある程度決まっていることが特長です。分譲住宅とは呼ばず【不動産住宅】と呼ぶ会社もあります。

建売住宅:

不動産会社が購入した土地に既に建てられた住宅のことです。宅地も分譲地いずれにも含まれます。分譲住宅と混同されるケースが多く見られます。

売建住宅

既に建っている建売住宅と違い、区画ごとに建てる間取り・プランが決まっていても未着工の状態で、契約後に建てる為内装や外壁などをある程度選ぶことが出来る住宅を言います。

注文住宅:

自分で選んで購入した土地に、自由なデザイン・間取りで建てられるオーダーメイドの住宅のことです。宅地でも分譲地でもオーダーメイドであれば注文住宅と呼ばれます。「自由設計住宅」という言われ方もあります。

中古住宅(既存住宅):

建築から1年以上経過した住宅は、未入居住宅であっても中古住宅(既存住宅)として販売することが法律で決められています。最近では、【中古住宅】という呼び方から【既存住宅】と表現する会社が増えてきています。

◆分譲地のメリット・デメリットについて

不動産・住宅用語を簡単に説明しましたが、ここからは本題の【分譲地】について紹介いたします。

分譲地は、元々田畑や山林であった土地を、開発会社が『暮らしやすい街並み』を意識して整備されるケースが多いため、電気・ガス・水道といった生活インフラ工事がしっかり行われています。つまり、すぐにでも家を建てられる状態で販売されていることが特長です。

しかし、分譲地にはメリットもあればデメリットもあります。メリット・デメリットを紹介して【分譲地】についてさらに理解を深めていただきたいです。

分譲地のメリット

【分譲地】には、住宅を建てるうえでのメリットがいくつもあります。

コストパフォーマンスが高い

分譲地は、土地をまとめて区画整理するため、宅地よりも区画単位の開発コストを大幅に抑えることができます。そのため、洗練された土地を手頃な価格で購入できることが大きなメリットです。
また、購入価格が明確なので、土地と住宅をセットで購入する場合の予算を見積もりやすいというメリットもあります。

生活インフラが既に整備されている

分譲地は、宅地とは異なり電気・ガス・水道といった生活インフラが既に整備された状態で販売されていることがほとんどです。そのため、すぐにでも住宅を建てることができる点がメリットです。個別宅地の場合、電気・ガス・水道の引き込みが別途経費として必要になります。
分譲地は、生活インフラを整備するコストが別途に必要でないため、他に予算を使えるというメリットもあります。

住みやすさ・生活利便性が考慮されている

分譲地は、土地を購入して家を建てた方が暮らしやすいように、街づくり計画が事前に考慮されているケースが多くあります。
そのため、ゴミステーション・公園・洪水対策・防火対策なども併せて整備されており、大型分譲地の場合はコミュニティーセンターや商業施設などもあったりして、住みやすさと生活利便性に優れていることがメリットです。

分譲地のデメリット

ただ、分譲地にはメリットだけでなく、デメリットもあります。

土地の広さを自由に決めることができない

分譲地は、既に区画整理された状態で販売されるため、土地の広さを自由に決めることはできません。
建てたい住宅は、必然的に購入した分譲地の面積・形状の範囲内で設計することになります。

分譲地内のどの区画が自分の建てたい住宅に適しているかを確認しておく必要があります。(この件については次回お話します。)

近隣とのコミュニティ形成は避けられない

分譲地は、住宅を建てた後、同じエリアの住民同士で長期間暮らすこととなります。近所付き合いや地域活動などを通じて密なコミュニティが形成されるため、隣近所との関係性をあまり持ちたくない方からすれば、避けられないデメリットとなります。

また、どのようなコミュニティが形成されるかは、住宅を建てた後でしか分からない点もデメリットと言えるでしょう。
ただし、比較的短時間で住宅が建てられるのでライフステージが似た環境の方が集まる傾向にはなります。

利便性が悪い場合もある

分譲地はある程度広大な面積の土地から整備されるため、駅やバス停から遠いエリアに位置することが少なくありません。
公共交通機関を利用する場合は生活利便性が低下する可能性があります。車が必須になる分譲地も多くあります。

また、小学校からの通学距離が遠いとか、保育園などが近くにないという場合もあるので、事前に周辺環境をチェックしておく必要があります。

◆分譲地を選ぶ際のポイント3つ

分譲地は区分けされていて整備されていることがメリットですが、土地の境界を巡ったトラブルが発生しやすいため注意が必要です。
分譲地を選ぶ際には、必ず隣地境界が明確になっているか確認を怠らないようにしましょう。
また、隣地境界以外にも分譲地を選ぶ際に注意すべきポイントがいくつかあります。

1.建築条件付き土地かどうかを確認する

分譲地には大きく分けて、建築条件付き宅地・建築条件なし宅地・建売住宅と3つの種類があり、それぞれ土地活用の条件が異なります。

特に建築会社を自由に選びたい場合は、選んだ区画が建築条件なし宅地であるかを確認する必要があります。

2.道路の位置・状態をチェックする

◎区画が面する道路の方角は?
複数の区画が密集する分譲地は、道路の方角によって日当たりや間取りの取り方が大きく異なります。
東側・西側・南側道路の区画は、それぞれ日照時間帯によるメリット・デメリットがありますが、概ね日当たりは良好となります。

北側道路の場合は他の方角と比べて日照条件が悪くなります。ただし、インナーガレージプランの場合は日当たりが良くない北側をガレージとし、宅地の南側を開けてリビングを配置する間取りが作れます。
分譲地の区画を選ぶ際には、住宅を建てた後の生活をイメージし、道路の方角は特に意識して選びましょう。

◎道路との段差や消雪装置の有無
分譲地に隣接する道路は、生活利便性を大きく左右します。宅地と道路との高低差や、用水などがあるかなどチェックするようにしましょう。

北陸地区などでは、道路に「消雪装置」が設置されていることが大きな要素となります。地球温暖化に伴い、積雪の少ない年もありますが、降る年には豪雪になる傾向があるようなので、「消雪装置」が完備されているかどうかもチェック項目となります。

3.ガイドラインの有無を確認する

分譲地を選ぶ際には、土地の形状や位置などの諸条件だけではなく、ガイドラインが設けられていることも重要です。ガイドラインとは、分譲地を活用するうえでの決まりごとです。

よくあるガイドラインとしては【建築協定】【緑化協定】【分譲地内施設利用規約】などがあります。

隣家との住宅の距離や住宅の外観、宅地の外構に対する協定があることで、近隣同士のトラブルの発生を抑えるだけでなく、分譲地自体の評価が下がらないようになり、住宅の資産価値を高めることになります。

分譲地にマイホームを建てた場合は、近隣の家族と同じエリアで長期間暮らすこととなります。不要なトラブルを避けるためにも、事前にガイドラインの有無を必ず確認しましょう。

まとめ

区画が集まった分譲地は、整備が行き届いており住宅を建てるための生活インフラも整っているため、住宅を建てるのに最適な土地です。

日照条件やガイドラインなどの諸条件を事前にチェックしておけば、後から後悔することもなく満足度の高いマイホームを建てたり買うことができるでしょう。

これから分譲地の購入を検討している方は、今回紹介した分譲地の特長や選び方を参考にして、最適な土地を手に入れて下さい。

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