地震で使われる用語「カイン・ガル」とは。

こんにちは、オスカーホーム高岡砺波営業所の千葉です。先日、お客様からこんなご質問を受けました。「カインやガルなどが大きい場合は、地震の破壊力も強くなるんですよね?」

カイン・ガルと言う言葉をご存知ですか?

聞きなれないカイン・ガルについて簡単にご説明をしたいと思います。まず初めにガルについて。ガルを理解するために、まずは加速度について話をします。

ガルと加速度

加速度の事をガルと呼びます。加速度とは「1秒間に変化する速度の変化量」のことです。なかなか文字だけでは難しいと思いますので、図を作ってみましたのでこちらで説明します。

発車して秒速1mになった時点を0秒、秒速7mに達したのはその3秒後

子どもを2人乗せて自転車を漕ぎ始めはスピードがあまり出ません。むしろ歩いた方が早いのではないでしょうか。時速3.6㎞(秒速1m)といった所ではないでしょうか。

しかし走り始めてから安定してくると時速25.2㎞(秒速7m)くらいまで上がってきます。(この場合の速度は計算しやすくするためです。)

加速度(等加速直線運動に限ります)を計算するのはそこまで難しい訳ではありません。

  • 速度変化量を時間変化量で割ったものが加速度
  • 加速度=速度変化量/時間変化量

実際に計算をしますと、

分母の時間変化量

  • 発車して秒速1mになった時点を0秒
  • 秒速7mに達したのはその3秒後

単位の秒をS(second)で示すと、時間変化量(△t)=3-0(s)

分子の速度変化量

  • 0秒時点での速度が毎秒1m
  • それから3秒ごとに毎秒7m

単位をm/s(メートル毎秒)で示すと、速度変化量△v=7-1(m/s)

加速度=速度変化量/時間変化量ですので、
加速度=(7-1)/(3-0) =6/3 =2(㎨) (メートル毎秒毎秒)

加速度は1秒間に変化する速度の変化量のことですので、この場合、1秒間に毎秒2mの割合で早くなったことを意味します。

地震の揺れの強さと加速度

話を戻しまして、地震の大きさの単位をガルは地震の揺れの加速度に用いる単位です。人間や建物にかかる瞬間的な力の事であり、速度が毎秒1㎝ずつ速くなる加速状態を1ガルとしています。

ちなみに熊本地震で計測された最大加速度は1580ガルでした。

ですので、1580ガル=1580(c㎨)=15.8(㎨)と計算する事が出来ます。

日常生活ですと、車の急発進時に加速度が体験できます。シートベルトも締めず、心構えも無く加速度に突然見舞われるのが大地震と言う事です。これまでの大地震では次のように熊本地震をはるかに上回る最大加速度が観測されています。

2011年 東日本大震災 2008年 岩手・宮城内陸地震
宮城県栗原市築館 岩手県一関市
2933.7ガル 4022ガル

日本で一番大きなガル数を記録している岩手県一関市は実は私の実家のある場所になります。日本一と聞くと聞こえはいいですが、あまりいい話ではないですね…。

カインとは?

「カイン」とは地震の強さを揺れの速度で表すもので、1カイン(cm/s)は1秒間に1センチメートル動いたことを意味します。

地震の大きさの単位としては震度、マグニチュードに加え、「ガル」「カイン」がありますが、「ガル」が瞬間的な加速度であるのに対し、「カイン」は加速度に時間を掛けてエネルギーの大きさ、つまり地震の強さを示します。

同じ加速度でも継続時間が長ければ、速度が増すことになりますので、地震が建物に与える影響を考えるときは、「カイン」を用いるケースが多くなっています。実際に、「ガル」の大きさよりも「カイン」の大きさの方が建物の被害状況と一致するとされています。近年は、地震学者の間ではカインを用いて研究する人が増えているようです。

一例をあげますと、阪神・淡路大震災では犠牲者の90%が倒壊した家具や建物の下敷きによる圧死であったのに対し、東日本大震災では同様の被害がほとんどありませんでした。これは、木造家屋、非木造の中低層建築物が最も揺れやすい周期である1~2秒で東日本大震災は100カインでした。阪神・淡路大震災の200~300カインに比べて小さく、家屋被害がおきにくい揺れだったためと考えられています。

「ガル」と「カイン」については少し難しかったかと思いますが、安全性についてもしっかりと学ぶ必要性がありますね。

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