「2×4(ツーバイフォー)工法って自由度が低い…」にハウスメーカー社員がお答えします。

こんにちは、高岡砺波営業所の千葉です。先日、お客様からこんな事でご相談を受けました。「2×4工法って、間取り制限があったり、後々のリフォームがしづらいんですよね…」よく皆さんからお聞きする言葉です。

実際に、間取りの制限やリフォームがしづらいと聞くと、2×4工法じゃない工法で検討しようかなと思われている方も少なくないと思います。そもそも、間取りの制限やリフォームがしづらいなどとお話を受けておりますが、何故そうなっているのかを、今回皆さんにお話します。

2×4工法の壁量の制約

2×4工法には柱や梁などがありません。その代りに枠組みパネル構造という壁パネル全体で構造を支えています。その壁のことを「耐力壁」といいます。厳密には、見えている部分に柱などが無いと言うことになります。そのため、住宅の構造躯体である耐力壁を削れない箇所があり、最低限必要な耐力壁の量が多くなります。

リフォームにおいては、この耐力壁を削ったりすることは耐震上からも出来ません。そのため、触れない壁が出てくるため、リフォームしづらいと認知されています。

それに比べると軸組工法(在来工法)の場合、この制約は少なくなります。しかしながら、耐震性を確保するためには工法に関係なく壁量を確保する必要があります。一見、リフォームの自由度が高いと考えがちですが、命を守る耐震性能を犠牲にしてしまう恐れもあるんです。

耐震性能を落とさずに耐力壁を減らす方法としては、壁倍率を上げる方法があります。

壁倍率

耐力壁の強度をあらわす数値で、建築基準法で定められています。仕様によって数値は異なり、壁倍率5が上限値です。

2×4の耐力壁では、9㎜の構造用合板と12㎜以上の石こうボードを使用する事で、合わせて4.0倍の壁倍率を確保しているのが一般的です。

一方、軸組工法では様々な方法が採用されています。どちらの工法にしても材料などを変えると限度の5.0倍まで上げる事は可能ですが、気になるようでしたら住宅会社に確認する事をお勧めします。

ここまで、軸組工法と2×4工法の違いをお話をしましたが、間取り制限があるのは、工法の違いと言う訳ではなく、耐震住宅かどうかで大きく変わってくると言う事です。

2×4工法の制約

2×4工法には次のルールもあります。

2階の耐力壁は原則として同じ耐力壁上に設ける

原則としてなので、多少のオーバーハングなどは可能ですが、基本的にはそういう決まりがあります。1階と2階の耐力壁が同じ位置になるようにする必要があるため、部屋の間取りは制約を受ける事になります。

この制約がない在来工法であっても柱や耐力壁は1階と2階で同じ位置にある事が望ましいです。この同じ位置にある割合を「直下率」と呼びます。

熊本の震災では耐震等級2の在来工法の新築住宅であっても倒壊した住宅がありました。この住宅では直下率が低かった事がわかっています。直下率の問題が全てではありませんが、このことも教訓にしなければいけません。

北陸だから震災が来ないと言う保証は何もありません。もし、北陸地方に地震が来た場合、地震以外の事も考えなければいけません。それは、雪です。

北陸地方の家づくりで重要な雪

前回、積雪荷重を考えた家づくりをしなければいけませんとお話をしましたが、調べていくと何やら興味深い記事を発見しました。

なんと、軸組工法では、積雪時の係数を入れて構造計算をしていません。

オスカーホームの2×4工法では、1㎥(立方メートル)あたり300kgの北陸の重く湿った雪が1.5mまで積雪しても構造体に支障が出ないよう構造計算を行なっています。これは計算上、1㎡(平方メートル)あたり450kgにも達し、屋根面積30坪の屋根ではなんと44トン。一般乗用車(1.5t)29台分を屋根に載せるのと同じ重さなのです。


さらに行政が定める垂直積雪量が1.5mを超える地域では地域に応じて構造計算をしているんです。(例:福井市・上越市・長岡市は2m基準です)

北陸地方では、この積雪荷重計算を各住宅メーカーでもされていると思いますが、現状としては、計算の式が決まっているわけではありません。在来工法の住宅では構造計算書の提出を免除される「4号特例」を利用して建てられている住宅が多いのが現状です。

>4号特例についてはこちら

2×4工法では、国が定めた厳しい基準の下、しっかりと計算式の設定した構造計算書を1棟1棟作成し、確認申請を取っているのです。

今回は2×4工法についてお話をさせて頂きました。間取りに制限や、リフォームがしづらい等色々な話が出ていますが、裏を返せば、住宅の安全のためにそれくらい建築の仕方を厳しくチェックをしていると言う事です。住宅を検討されている皆さんも、広い窓や開口部に気を囚われがちだとは思いますが、いざという時の安全や安心の為に住宅の性能のことも考えてみてください。

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