知的・発達障害児に安全な住まいの工夫
思いがけないものに興味を持ち、突発的な行動に出る子ども達。放置しておくと、大きな事故にもつながります。最近は、住まいの改修などで、安全で快適な生活を過ごせる取り組みも見られます。その一部を今回は紹介します。
ベランダ
外に興味のあるものを見つけると、突発的に窓を開けベランダに出てしまう子ども。何度も転落しそうになりました。そこで、ベランダに出る窓には特殊なカギを付け、簡単開けられないように。
しかし、出入り禁止も良くありません。子どもがベランダに出たいときは「ベランダ」が描いてある絵カード※を親に示し、親子二人で出るなどルールを決めることで、安心に気持ちよく外にでられました。
※文字や話し言葉によるコミュニケーションが難しい方が、イラストを指さすことで自分の意思を伝えるもの。コミュニケーションカードとも。最近はアプリ版もある)
キッチン
食べたいものがあると、キッチンカウンターを飛び越えて台所に入ってしまう子ども。冷蔵庫や食器棚を開ける、熱くなったコンロに触ることもありました。
この場合は、キッチン入り口に扉、カウンターに格子状の窓を付けました。扉はドアノブを付けず、引き手に。ドアノブだと、何度もカチャカチャ回す、ぶら下がるなどをして、破損の恐れがあります。引き手は目立たないため、子どもの興味をひかず、無理やり開けることはなくなりました。子どもは食べ物が欲しいときは、「食べ物」の絵カードを親に示し、一緒にキッチンに入ります。
カーテン
子どもはカーテンが好き。くるまったり、引っ張ったりで、カーテンが破れる・レールが破損するなどで、事故につながることも。面ファスナーを付けたカーテンにすると、万一引っ張ってもレールからカーテンが外れるため、破損事故を防げます。
インターホン
インターホンなどのボタン類を繰り返し押す、モニター画面が気になって叩く、このような場合は、インターホンにカバーを付けると効果的。興味の対象となるものを見えなくするのがポイントです。
ハンモック
身体を揺らすことで子どもが落ち着く場合、天井を補強してハンモックを吊るして、子どもの居場所を作るという方法もあります。改修が難しければ、直径約1mのミニトランポリンを置くというのも。
ガイドブックの紹介
前述のような事例が100件近く載っている書籍『知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック』にはすぐできる工夫から住宅改造まで幅広く扱っています。実際にリフォームした事例・費用の概算も載っているので、広く活用できます。
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改修で環境が整い、子どもの行動が落ち着くことで、親子の関係が円滑になれば嬉しいですね。
参考資料
- 日本経済新聞(夕刊)「住まいナビ 知的・発達障害児自宅改修で安全」(2017年6月28日)