地震の少ない富山県。でも防災対策はしっかりと
はじめに、熊本大地震で被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
富山県は地震の少ない県といわれています。しかし、今回、地震が少ないといわれた佐賀県でも震度5強を記録したので、安心はできません。
北陸地域のこれまでの地震
北陸地域での地震といえば、
- 1948(昭和23)年 福井地震
- 1964(昭和39)年 新潟地震
- 2004(平成16)年 新潟中越地震
- 2007(平成19)年 能登半島沖地震 など
近隣の県が震源地だと、富山県も影響を受けていると思われますが、実はそんなことはありません。震度4以上の地震回数は12回で、震度5強以上の観測はありません。ここ数十年の観測でも以下のような状況です。
富山県での地震観測
震度3以上の回数 | 震度4以上の回数 | |
1980~2010 | 21回 | 4回 |
2011年 (東日本大震災に係る余震) |
5回 | 0回 |
ちなみに、新潟県は震度3以上が117回、震度4以上が20回です。いかに富山県が少ないかが分かると思います。
富山県が地震が少ない理由は?
その鍵を握るのが「立山連峰」です。
過去の地震の例を見ると、立山連峰を含む飛騨山脈の西側(富山県側)と東側(長野県側)で地震波を観測すると、それが山脈の下を通るときその波が非常に小さくなります。これを、研究者が特殊な測定器で重力を精密に測定すると、他地域に比べ立山連峰周辺は重力の値が小さくなるとのこと。
元来、活火山の地下には「マグマだまり」という貯蔵庫があります。その影響で、地震が小さくなるのではと考えられています。しかし、他の活火山では震度が小さくなるという現象はありません(富士ノ折立・大汝山・雄山の立山三山は火山ではありませんが、弥陀ヶ原火山はあります)。
立山連峰の場合は、マグマに岩石(細かい穴が無数に開いた)が混ざり合い、それらが大量の水を含んで、地震波を吸収して震度が弱くなるというのが、有力な説です。ただ、現在の段階ではその理由は何か、明確にわかっていません。
いえるのは、富山県は立山連峰という要塞に守られているということです。さすが「日本三霊山」の一つといわれるだけありますね(残り二つは、富士山と白山)。
富山県は本当に安心?
富山県には、3つの断層が走っています。1. 呉羽山断層帯 2. 砺波平野断層帯東部 3. 砺波平野断層帯西部です。
これらは震度6以上の威力を持っていて、特に呉羽山断層帯は震度7が予想されるほどの破壊力を持ち、富山湾まで伸びています。また、富山県は海が近く海抜が低いため、万一地震が発生したら津波の被害が甚大になる可能性はあります。
さらに過去の例を見ると、1586年の天正地震では震度6を記録し、圧死者が多数出ています(人数不明)。1858年の飛越地震では、震度6を記録し170名近くが亡くなっています。
2007年の能登半島沖地震は、震度5弱でしたが(富山県としてはかなり強い方)液状化現状が確認されました。
こういった状況があるにもかかわらず、県は津波などの対応は後手に回っているようです。つまり「絶対安全」とはいい切れません。
いざというときのために、防災対策はしっかりしておきたいものです。
次回は、自分たちでできる防災対策についてお伝えします。