加入しているだけで安心してはいけない、地震保険の基本的なポイント
みなさん、全国の世帯の中で4世帯に1世帯が加入している保険ってご存知ですか?答えは日本における「地震保険」の加入率です。正確には2014年資料で28.8%ですが、新潟県20.1%、富山県19.5%、石川県23.5%、福井県24.2%とさらに低い加入率です。
「ここは大きな地震が起きないだろう」と考えがちですが、先日熊本でも大きな地震が発生しましたが、数年前に発表された地震発生の確率では熊本県と富山県は、ほんの数%しか変わっていなかったのです。首都圏への直下型地震などもここ数年で頻繁に言われるようになってきましたが、島国の日本ではいつ地震が来てもいいように備えることが大切と、改めて感じました。
目次
地震保険の中身を見てみよう
この記事を読まれている方も多くの方が地震保険へ加入されていると思いますが、今回は地震保険について基本的に知っておきたいことを紹介します。
地震保険とは
地震等によって発生した、火災・損壊・埋没・流失による損害を補償する保険です。
「地震保険に関する法律」に基づき、被災者の生活の安定に資することを目的としており、その保険金の支払責任の一部を再保険として政府が引き受けている、非常に公共性の強い保険です。
地震保険は、火災保険に原則付帯されます(ご希望により外すこともできます)。建物、家財それぞれご加入の必要があります。地震保険だけを単独で契約することはできません。
地震保険の特長
- 居住用建物またはその建物に収容されている家財が対象となります。
(専用店舗・事務所などの建物およびその建物に収容されている不動産は対象となりません。) - 法律(地震保険に関する法律)に基づいて、政府と民間の損害保険会社が共同で運営している制度です。
(火災保険と異なり、保険会社による補償内容や保険料の違いはありません。) - 利潤を一切いただかず、皆様の地震保険料は準備金として積み立てられています。
- 地震災害による被災者の生活の安定に寄与することを目的としています。
ポイント1.「全壊の場合は100%支給」は、全額支払いが出るわけではない
「全壊の場合は100%支給(ただし時価*を限度としている)」という記載がある保険の場合です。※時価…その時の商品の評価価格のこと
例えば、3,500万円で購入したお家でもその時に2,500万円の価値を付けられた場合、保険金が最大で2,500万円しか受けとれません。また、このような場合は、時価が限度となるため、3,500万以上のお金を受け取ることはできません。
被害のレベルによって支払額が変わる
さらに地震保険には家の状態によって次の基準が設けられています。地震保険は、通常の火災保険とは異なり、実際の損害額を保険金としてお支払いするものではありません。損害の程度によって「全損」「半損」「一部損」の認定を行い、それぞれ地震保険金額の100%・50%・5%を定額で支払いが行われます。
損害の程度が「一部損」に至らない場合は、保険金は支払われません。なお、保険の対象が建物の場合、建物の主要構造部(軸組・基礎・屋根・外壁等)の損害の程度を確認します。
全壊 | 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の50%以上になった場合、または焼失あるいは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上になった場合をいいます。 |
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半損 | 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の20%以上50%未満になった場合、または焼失あるいは流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の20%以上70%未満になった場合をいいます。 |
一部損 | 建物の主要構造部の損害の額が、その建物の時価の3%以上20%未満になった場合をいいます。
なお、地震等を原因とする水災によって建物が床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を受けた場合で、その建物が全損または半損に至らないときは、一部損とみなします。 |
ポイント2.大震災のときは支払額の上限が決まっている
地震保険は、1回の地震等によって支払う保険金に限度額(総支払限度額)が設けられています。この限度額を超えない限り、保険金は契約どおり支払われます。
上限の決めかた
今回の熊本地震のような大規模な震災の場合は、保険会社を守るため、保険支払いの上限額が決まっています。※1回の地震等による損害保険会社全社の支払保険金総額が11.3兆円を超える場合、算出された支払保険金額に対する11.3兆円の割合によって削減されることがあります。(平成28年4月現在)
<ご参考> この金額は、関東大震災クラスの地震が発生しても支払い保険金の総額がこの額を超えることがないように決定されており、適宜見直されています。東日本大震災が発生した際には、削減することなく保険金は支払われております。
地震保険に加入していることで、災害後に保険がもらえるから安心とも言えますが、やはり地震に強い家に住むことが一番大事なことではないでしょうか。
その他:地震保険以外の地震の支援制度もあります
地震保険が対象としているのは、地震だけではないことは冒頭で紹介していますが、実際に地震による被害に遭ってしまったとき、政府や自治体などが被災者を支援する制度を設けています。
- 「被災者生活再建支援法」(内閣府ホームページより)
家の全壊など生活基盤に著しい被害を受けた方に対して、生活の再建を支援するための支援金 - 「基礎支援金」(各自治体)
住宅の被害程度に応じて支給されます。住宅の再建方法に応じて支給される加算支援金がある場合も - その他、賃貸住宅の提供・住宅の応急処置など
どれも自分で申請するものになりますが、大震災の場合にはこうした支援制度があります。
とはいえ、地震は人事ではありません。自分の住んでいる地域の地盤の状態や家の耐震性については、一度調べておきましょう。