持ち家率ナンバー1の富山県、その理由は?
小学生のころ、社会の時間に「富山県は持ち家率全国1位」と習った人も多いことでしょう。今回は、その理由について調べてみました。
データでみる日本の持ち家率
国が5年に1回行っている国勢調査。人口・労働・教育など調査項目は多岐に渡っています。その平成22(2010)年の住居に関する調査結果をみてみましょう。
全国的に「住宅に住む一般世帯数」を住宅の所有関係別にみると、「持ち家」が61.9%と最も高くなっています。これ以外は、公営・民営などの「借家」、または社宅や公務員宿舎などの「給与住宅」となっています。日本人が「持ち家」に住むことにこだわりを持っていることが読み取れます。
持ち家率の高い都道県
1. 富山県 | 78.35% |
---|---|
2. 秋田県 | 78.34% |
3. 福井県 | 75.7% |
4. 山形県 | 75.6% |
国勢調査が始まった1960年以来、富山県が連続で全国1位を維持しています。
しかし最近は持ち家が増加する一方で、民営の借家も増加しています。 結果、持ち家率は緩やかな低下が続き、これが2位の秋田県との差を縮めているようです。(ちなみに、平成17年(2005年)は、富山県79.1パーセント、 秋田県78.0% と富山県の持ち家率が減少しています。)
持ち家率の低い都道県
1. 東京都 | 46.6% |
---|---|
2. 沖縄県 | 49.6% |
3. 福岡県 | 53.7% |
対して、持ち家率が低いのが東京都、沖縄県、福岡県です。実際の数字をみると富山県が比率の高さがよく分かると思います。
持ち家数も多いが、家も広い富山県
また、一世帯あたりの住宅延べ面積は、全国では3分の2の世帯が「99平方メートル以下」ですが、富山県は3分の2の世帯が「100平方メートル」となっています。つまり「大きな家」を所有しているのが、富山県の特徴です。
富山県が持ち家率の高い理由
富山県内の住宅地を回っていると、戸建住宅が多いことに気づきます。それらは、庭・ガレージ付きの大きな住宅で、都会で見かける3階建ては少ないです(禁止されている地区もあります)。ファミリー向けのマンション・ハイツもありますが、こちらは「新婚さん」向け。妊娠・出産などを機に住宅を購入予定の「マイホーム予備軍」です。
では、なぜ「持ち家」を所有したがるのか?それは昔から「家を持って一人前」という考えが根付いているからです。「家を持っていない人は、地に足が着いていないようでイマイチ信用できない」と言い切る年配の方もいます。
しかし、住宅には先立つも「お金」が必要ですよね。
下にある調査結果から読み取れるように、富山の多くの家庭は共働きで、世帯収入も多いことが分かります。これらが豊かな家計を生み出し、住宅への投資に一役買っているのでしょう。
富山市の二人以上の世帯の実収入 | 612,354円 (全国3位) 出典:2012年の総務省統計局の家計調査 |
---|---|
共働き率 | 53.9% (全国5位) 出典:平成22年の国勢調査 |
15歳以上の女性就業率 | 49.9% (全国7位) 出典:平成22年の国勢調査 |
歴史をさかのぼると「お金」以外にも原因はありそうです。「越中の一つ残し」という言葉があり、一財産を残すというということで、富山県民の堅実さを示すときに使われます。
江戸時代、富山県は富山藩10万石の小藩でした。隣国の加賀藩から介入を受け、水害にも度々襲われるため財政は豊かとはいえません。そんな中、勤勉で節約をする風土ができあがったともいわれています。
「越中の一つ残し」として、「土地」や「住宅」を、子や孫に残していこう。
…こういった家族や子孫を思う気持ちが、持ち家率を高くしているようです。
ちなみに新潟県・石川県も全国平均以上の持ち家率です。北陸地域は、住宅に対する思いが強いようですね。