子育て期を楽しむための家の間取りのポイント
産まれてから3〜4年は食事、排泄、お風呂などのお世話が必用な上に、ちょっと目を離した隙に家中を探検して段差を落ちたり、指を挟んだり、家の中でも休む間もなくハプニングが起こります。怪我をせずに安全に過ごせること、お世話をする側がなるべくストレスをためずに過ごせることも大切ですが、子育て期は、家で過ごす時間が、そのまま家族の物語の新しいページになります。
家のどこにいても家族が何気なく会話でき、何となくつきあっていけるような、10年後、20年後も家族の繋がり方に融通が利くような、おおらかにのびのび過ごせることを大切にしましょう。
子育て家族の家づくり「部屋別の間取り」の考えかた
玄関
玄関は土足部分を広くとると便利です。またインナーガレージにするのも良い手段です。大人だけなら靴と傘の置き場で十分なのですが、それだけでなく、ベビーカー、三輪車や自転車、砂場用おもちゃなどが置けるスペースが必用になります。
また幼少期はクツをはくのに時間がかかります。大人も一緒にしゃがんではかせてあげるためには玄関ドアから上がり框まで、90cm以上は欲しい所です。
回遊動線
雨や雪の日には外に出られず一日中家の中で過ごすこともあります。じっと座っていられないのが子どもですから、家の中でも動き回りたくなるものです。
リビングからキッチンや洗面所につながり、そこからまた廊下や玄関を通ってリビングに戻ってくるといったエンドレスな動線になっていると、家中をくるくる走り回れます。途中にウッドデッキなど外部空間を取り入れるのも面白いでしょう。引戸を使って部屋が繋がっていると、開放したままでも安全です。
リビング
子供部屋をつくっても、小さいうちは誰かのそばにいなければ不安になってしまいます。おもちゃコーナー、絵本コーナーなどがリビングの一角にあると便利です。子どもは物の場所を体で覚えます。どこに何をしまえば良いか、わかりやすくしてあげることでお片づけも自主的にできるようになります。
2才頃までは、ハサミやカッターなど先の尖った物、薬やビーズなど誤飲の心配がある物は手の届かない場所にしまっておくようにしましょう。
また、思い出の写真やがんばって描いた絵など、いつでも眺められる場所に飾れるようなディスプレイコーナーもあると楽しみが広がります。窓辺でもいいですし、ニッチをつくっておくのも良いかもしれません。
キッチン
火や刃物を使うキッチンは、子供にとっては危険な場所ですが、キッチンで学べることもたくさんあります。
安全で機能的な必用もありますが、余白をつくって子供の居場所をつくってあげることも、食育の面で大切です。食事の準備をしながらコミュニケーションをとり、自然に食べることに関心を持てるようになれると良いのではないでしょうか。
寝室、個室
フレキシブルな寝室、個室。ママやパパと一緒でなければ眠れなかった子どもたちも、いつの日か自分の部屋をもちたいと思うようになります。しかし、10年後の生活に合わせて部屋を考えたのでは、10年間は理想とかけ離れた暮らしをしなければなりません。変化しやすい状況にあわせ、間仕切り壁を後で追加するなど、変更することを想定して、大らかにプランしましょう。
家具はつくり込まず、変更しやすいように
家に合わせた作り付けの家具は理想ですが、子育て期は家族の人数もニーズも目まぐるしく変わります。しっかりつくり込んでも、予想通りに使われなかったりすることもあります。
収納のためのスペースを確保することは大切ですが、家具や収納ケースなどを上手く利用したり、簡単な棚をDIYしたり、その時の生活に合わせて変更がしやすいようにしておく方が自分で手を加える楽しみも広がります。棚を付けたい時にはあらかじめ壁の下地を合板にしておくと安心です。